東京でSTEAM教育を実践している学校事例18選|小学校・中学校・高校別に紹介

近年、プログラミング必修化や探究学習の拡充を背景に、国内でも「STEAM教育」が一気に広がっています。

STEAMは Science・Technology・Engineering・Arts・Mathematics の統合学習を意味し、知識の暗記にとどまらず、課題の発見と解決、そして表現までを一連のプロセスとして育むのが特徴です。

東京都内でも、公立・私立を問わず、機材や環境の整備だけでなく、教科横断のカリキュラム設計や地域・企業との連携を通じて実践の質を高める学校が増えています。

本記事では、そうした中から小学校・中学校・高等学校の計18校を厳選し、各校が「何を」「どのように」取り組んでいるのかを具体例中心に紹介します。

STEAM教育とは

STEAM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Arts(芸術)・Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせた教育モデルです。

これまでの知識暗記型学習とは異なり、実際の社会課題や身近なテーマを題材に「自ら考え、創り出す力」を育むことを目的としています。

特に日本では、文部科学省が「探究的な学び」を重視する方針を示し、プログラミング教育や総合的な学習の時間などを通してSTEAM教育の導入を推進しています。

都内でも多くの学校がこの流れを受け、ICT環境やロボット教材、教科横断型カリキュラムを取り入れながら、創造的な学びを実践しています。

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東京でSTEAM教育を実践している小学校6選

ここでは、東京都内で特にSTEAM教育に力を入れている小学校を紹介します。

各校ではプログラミングや理科実験だけでなく、アート・表現・探究など多角的な学びを通して「考える力」「創造する力」を育んでいます。

荒川区立第二日暮里小学校

荒川区立第二日暮里小学校は、東京都のプログラミング教育推進校として長年研究を続けている公立小学校です。

LEGOロボットやアンプラグド教材を使い、段階的にスキルを育てるカリキュラムを整備しています。

また、図工・理科・国語など教科の枠を超えたSTEAM型授業も特徴的です。

たとえば、国語の表現活動としてナレーション付きの映像作品を制作したりと、学びを実践につなげています。

宝仙学園小学校

宝仙学園小学校では、児童が自らテーマを設定し、調査・実験・発表を行う探究型の学びを展開しています。

独自教科「創造探究」を通じて、「なぜそうなるか」「どうすれば解決できるか」を問い、自ら考え、主体的に行動する力を育成しています。

また、プログラミング・ICT教育も積極的に取り入れており、プログラミング体験やタブレット等を用いた学びが実施されました。

全学年で探究活動を展開し、教員も授業の公開や振り返りを通じて探究型学びのプロセス改善に取り組んでいます。

成城学園初等学校

成城学園初等学校では、教科横断的・探究型の学びを重視しており、教室配置や施設構成もそれを支える設計になっています。

児童が「どうしてそうなるか」「どうすれば解決できるか」といった問いを立て、観察・実験・分析・発表といった過程を通じて自ら考え行動できる学びが展開されています。

また、幼稚園から大学・大学院までを擁するワンキャンパス体制を活かし、学園内での交流・連携教育も特色の一つです。

ICT機器を活用した授業改善や教科横断的カリキュラムの構築にも取り組んでおり、学校全体で未来社会を見据えた教育改革を進めています。

学習院初等科

学習院初等科では、すべての学年を対象とした体系的なプログラミング・情報教育カリキュラムを展開しています。

生徒は、物事を筋道立てて考え、表現する力を養うため、ICT機器を活用しながら、他教科と連携して探究・表現活動に取り組んでいます。

たとえば、3〜4年生ではコンピュータの基本操作やタイピング、絵を描いたりアニメーションを制作したりする授業を行い、さらに上学年になると理科・社会・算数といった教科でICT活用を深め、自分なりの考えを発表する機会を設けています。

また、教育方針として「真実を見分け、自分の考えを持つ子ども」の育成を掲げ、教員全体で主体的・対話的で深い学びを実践する授業研究に取り組んでいます。

こうした探究・ICT・表現型の学びの枠組みの中で、児童が自ら考え、造り出し、共同して学ぶ姿勢を育てています。

長谷戸小学校

渋谷区立長谷戸小学校は、早期からプログラミング教育・ICT活用に取り組む公立小学校です。

2019年度には東京都教職員研修センターのプログラミング教育研究協力校に指定され、児童一人につき1台の端末貸与や教室・校内の無線LAN整備など、ICT環境を整備しています。

授業では、プログラミング教材・ロボット・電子回路教材などを活用し、「どうすれば動くか」「どのように組み立てるか」を児童が試行錯誤して考える探究的な学びを展開しています。

たとえば、低学年では「命令を組み合わせてロボットを動かす」体験を行い、上学年では「改善させていく姿勢・協働して解決する姿勢」を育てる指導計画が示されています。

また、タブレットを教科横断的に利活用し、児童が学びを記録・共有・発信できる環境作りにも力を入れています。

学校として教員研究会・授業公開にも取り組んでおり、ICT・プログラミング・探究学習を通じて児童・教員・学校がともに学びを深める文化を醸成しています。

世田谷区立烏山小学校

世田谷区立烏山小学校は、2018年度から「STEM/STEAM教育」をテーマにした世田谷区「世田谷9年教育」研究開発校「STEMスクール」に指定されており、児童の主体的・探究的な学びを重視しています。

授業では、理科「電流のはたらき」の単元で紙コップ・エナメル線・磁石を使ったスピーカー制作を通して、児童自身が巻き数や磁力・電流など条件を変え実験を行い、得られたデータを整理・比較・規則性の発見まで導く活動が行われています。

また、プログラミング・ものづくり・ICT活用を3つの視点に据え、教員による研究・公開授業・校内研修も積極的に実施され、前のめりなSTEAM教育を受けられるでしょう。

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東京でSTEAM教育を実践している中学校6選

東京都内では、中学校段階から本格的にSTEAM教育を導入する学校が増えています。

プログラミングや理科実験にとどまらず、英語・探究・デザイン思考などを掛け合わせ、社会課題解決型の学びへと発展させている点が特徴です。

ここでは、大学や企業と連携しながら先進的なSTEAM教育を実践している中学校を紹介します。

芝浦工業大学附属中学校

芝浦工業大学附属中学校では、「IT(情報技術)」「GC(グローバル・コミュニケーション)」を柱に据えた探究型カリキュラム「SHIBAURA探究」を展開しています。

中学1年次から、芝浦工業大学との協力によるものづくり体験や課題解決型学習に取り組み、STEAM教育を意識した学びを設計しているのが特徴です。

校内では、ロボット制作・プログラミング・ドローン制御・データサイエンスなどを通じ、児童・生徒がアイデアを立てて試して発表する機会が与えられています。

また、同校はSTEAM型カリキュラムをウェブ上で公開しており、「科学的思考・技術的アプローチ・創造性」を育て、社会に貢献しうる人材育成を目標としています。

聖徳学園中学校

聖徳学園中学校では、Apple 社から認定を受けた「Apple Distinguished School」として、全生徒が iPad を1人1台所有する環境のもと、STEAM教育・プログラミング教育を柱に据えた学びを展開しています。

HTML・CSS・JavaScript・Python などを実際に扱い、Web制作・プログラミング体験を通じて「仕組みを自分で作る力」を育成しています。

さらに、ロボット教材(Sphero)を使ったICT授業も中1から実施されており、生徒自身がアイデアを試しながら学びを深める場もあり、意見も活発にできる環境です。

また、教科横断的・探究型の学びを推進し、生徒が主体的に課題を見出し、デジタル機器を用いて記録・発表する環境を整えています。

実践学園中学・高等学校

実践学園中学・高等学校では、文部科学省が推進する「DXハイスクール」に採択され、デジタル技術・ICTを活用した探究型学習を高度に展開しています。

生徒たちは、ロボットプログラミング、3Dプリンタ、レーザーカッターなどのツールを使って、課題探究・デザイン制作・社会提案に取り組む機会が用意されています。

また、STEAM教育の枠組みを意識しながら、理数・情報・技術・表現を統合した学びに挑戦。教科学習で培った知識を「社会でどう活かすか」を考え、問題発見から解決、表現・発信まで一貫して取り組める教育体制が特徴です。

探究活動の中では、生成AIやドローン講座、データ制御などの最新技術も取り入れられており、デジタル時代に対応した人材育成を目指しています。

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工学院大学附属中学校

工学院大学附属中学校は、PBL(課題解決型学習)とPIL(協働学習)を教育の軸に据えた探究・STEAM教育を実践しています。

全教科において、「THINK, MAKE, SHARE(考え、作り、共有する)」という考えを重視し、生徒が主体的に学び・協働し・発信できる環境を整えています。

代表的なプログラムとして、「Mission on the Ground(MoG)」と呼ばれる海外探究プロジェクトがあります。インターナショナルクラスの生徒たちは、途上国を訪れ、社会起業家や地域の課題に向き合い、リサーチ・企画・実行・発表を英語で行う機会を持っています。

ICT・デジタルツールやファブスペース(3Dプリンター・貸出PC・iPad等)も導入されており、生徒たちは授業や課題・プロジェクトにおいて、デジタルを活用して「創る」「伝える」「協働する」経験を積んでいます。

玉川学園中等部

玉川学園中等部(中学部・高等部)は、幼・小・中・高・大を一貫して運営する学園体制のもと、STEAM教育を軸に、理数+芸術を融合した探究型の学びを展開しています。

生徒たちは、理科・数学・技術の分野だけでなく、芸術的な表現やデザイン思考を取り入れたプロジェクトに取り組み、「課題を発見し、調査・設計・発表する」という学びの流れを体験しています。

また、文部科学省指定のSSH校として、大学・企業・研究機関との連携のもと、先進的な設備(理科教育専門校舎・美術教育専門校舎など)を活かしながら、生徒自身がテーマを決めて研究・発表できる環境が整っています。

本校では「本物に触れる」「学びを創る」という理念に基づき、生徒一人ひとりが多様な分野を横断しながら、自分の関心を形にし、創造的な課題解決力を養っています。

文化学園大学杉並中学校

文化学園大学杉並中学校では、探究型・創造型のSTEAM教育を柱に据え、生徒が主体的にテーマを設定し、調査・創造・発表に取り組む学びを展開しています。

課外活動「STEAMプロジェクト」では、メイカー(レーザーカッター・3Dプリンター・ロボティクス)・社会課題探究・キャリア探究・広報活動の4部門を設け、学校外の大学・企業・NPO等との連携を図りながら、生徒が「探究から創造まで」のプロセスを経験する場となっています。

授業や活動では教科横断的な視点が重視され、知識習得だけでなく、問いを発し、仲間と協働し、モノや仕組みを“作る”探究・創造活動を通じて、21世紀に求められる思考・表現・共創力を育成しています。

東京でSTEAM教育を実践している高等学校6選

高校では、大学・企業・地域社会と連携した実践型STEAM教育が広がっています。AI・デザイン・ロボティクス・国際探究など、実社会に直結するテーマを扱う学校も多く、生徒が自ら課題を見つけ、解決策を提案する学びが中心です。ここでは、東京都内で特に注目されている6つの高等学校の事例を紹介します。

ドルトン東京学園

ドルトン東京学園中等部・高等部では、米国の教育法ドルトンプランに基づき、「自由」と「協働」を教育の柱とし、生徒が自らテーマを設定して学びをデザイン・探究・発信する学びを展開しています。

校内には2022年竣工の専用施設「STEAM棟」があり、1階のクラフト・ラボラトリーではものづくり・プロトタイピング、2階のラーニングコモンズではリサーチ・ディスカッション、3階のサイエンス・ラボラトリーでは実験・探究活動が行えるよう設計されています。

生徒は3Dプリンターやレーザーカッターなどを活用し、ICT機器を手元の端末と併用しながら、教科横断的なプロジェクトに取り組んでいます。

生活している学びの場自体が、探究を促す環境として整えられており、生徒中心の創造的な学びが実践されています。

自由ヶ丘学園高等学校

自由ヶ丘学園高等学校では、科学・社会・技術・芸術・数学を横断するSTEAM教育を柱とし、生徒が自ら課題を設定して調査・企画・発表を行うPBL(課題解決型学習)を重視しています。

さらに、国内外の大学・企業・研究機関と連携した体験学習・ワークショップを数多く展開しており、たとえばデジタルリテラシー教育や国際ワークショップを通して、生徒はグローバルな視点・協働の力・創造的思考を育みます。

また、「生徒エージェンシー(自ら動く力)」の育成を標榜し、SEL(社会情動スキル)を授業設計に取り入れつつ、課題探究から発信・共有までをチームで回す仕組みを採用しています。

駒込高等学校

駒込中学校・高等学校では、理系先進コースを中心にSTEAMを統合した教育を実践しており、生徒が主体的に課題を探し、手を動かし、共有・発信する探究型の学びが展開されています。

高1・高2ではSTEAM授業として、たとえばライントレース用のロボットやプログラミング、実験・デジタル表現に取り組み、実践の場を通じて知識・思考・表現力を育てています。

また、共同授業として埼玉大学STEM教育研究センターとの連携が行われており、生徒は社会課題を題材に、プログラミングやものづくりを通じて解決策を検討・発表します。

探究活動では、ドローン開発、VR/AR活用、ゲームソフト開発といったテーマが実践されており、国際的な視野・技術的思考・創造的発想の育成を目指しています。

教科の枠を超えた学びを通じて、生徒がデジタル時代に求められる「問いを立て、手を動かして創り、他者と共有する」力を育成する教育モデルとして注目されています。

東京都立晴海総合高等学校

東京都立晴海総合高等学校は、総合学科の制度を活かし、生徒が多様な科目・学び方を選びながら「社会とつながる探究学習」を実践しています。

特に、3年次に開講される「探究Ⅱ」では、生徒が5人1班で企業や自治体から提供された課題に挑み、提案・作品制作・プレゼンテーションを通じて社会課題の解決を探ります。

この授業には旺文社をはじめとする外部企業が協力しており、実際に高校生が「出版社のコンテンツの価値を高める提案」などビジネスと教育が交わるテーマに取り組んでいます。

また、総合学科ならではの柔軟な科目選択・授業編成により、探究・デザイン・ICTを組み合わせた学びが可能で、学びの目的を「知識を得る」から「社会に活かす」へと広げる教育モデルとなっています。

東京都立科学技術高等学校

東京都立科学技術高等学校は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として、理数・情報・探究を重視する教育を進めています。

2024年度には「創造理数科」が新設され、探究・理数・情報教育を横断的に融合した学びが設けられています。

生徒は自らテーマを設定し、実験・調査・発表を含む探究型授業に取り組み、大学・研究機関との連携による実践も行われています。探究活動を通じて、知識を活用して自ら考え創る力を育てています。

実践女子学園高等学校

実践女子学園高等学校では、ICT・EdTech を学びの基盤とし、生徒が自分のデバイス(BYOD)を活用して探究活動に取り組める環境を整えています。

探究学習では、生成AIを活用したプロジェクトが実施され、生徒がテーマを設定し、AIを用いてアイデアを視覚化・試作・発表する経験を積めます。

また、同校は、文部科学省のDXハイスクール採択校でもあり、レーザーカッター・ドローン・AI教育など、デジタル人材育成の観点から環境整備が進んでいます。

東京都の多くの学校でSTEAM教育は実践されている

東京都では、紹介した学校以外にも、さまざまな形でSTEAM教育が実践されています。

公立校ではプログラミングや探究の導入が進み、私立校では大学や企業との連携によって、より高度で実践的なカリキュラムが整いつつあります。

いずれの学校も共通しているのは、「知識の暗記ではなく、考え・創り・発表する学び」を中心にしていることです。

STEAM教育は、理数系の枠を超え、アート・人文・社会課題をも含む総合的な創造教育として進化しています。

今後も東京都では、行政・企業・教育機関が連携し、子どもたちが自ら未来を設計できる探究的学びの環境づくりが広がっていくでしょう。

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